2012年05月07日

特許判例百選(第4版)から学ぶ調査の考え方 実施可能性と発明の同一性

 「特許判例百選 第4版」(別冊ジュリスト No.209号 2012年4月4日 有斐閣)に,特許調査に役立ちそうな判例と解説が掲載されていましたので紹介します。

  今回紹介する判例は,本願記載の発明と引用文献の対比について、具体的な事例からその考え方を学ぶことができるものと思われました。


 特許調査の注意点

・本願の請求項記載の発明と引用文献記載の発明は,表現形式(特性など)ではなく,開示された技術的思想の実質的な対比によって判断する。
・本願の請求項記載の発明と引用文献に記載された発明が異なる特性によって特定されている場合,「請求項に係わる発明の機能・特性等が他の定義又は試験・測定方法によるものに換算可能であって,その換算結果からみて同一と認められる引用発明の物が発見された場合」であるか否かを検討する。


 以下,記事の内容の簡単なまとめです。



13 刊行物における発明の開示の程度(P28−P29)
 平成19(ワ)第26761号
 特許権侵害差止等請求訴訟事件
 判時2036号125頁,判タ1303号289頁


<事実の概要>

 出願人Xの本件特許発明は、特許請求の範囲を「水とは別に約93重量%以上のアカルボース含有量を有する精製アカルボース組成物」とする物の発明。
 → アカルボースの「純度」を限定した点に特許性が求められる。

 Yはサッカラーゼ阻害「比活性」が77,700 SIU/gである旨の記載があるアカルボースを記載した2件の特許文献(Xの出願によるもの。以下「引用文献」という)が存在すること,および,明細書に純粋なアカルボースの比活性は77,661 SIG/g程度である旨の記載があることなどを指摘し,優先日前に純粋なアカルボースが刊行物に開示されていたとして,新規性喪失による特許無効の抗弁を主張した。
 → 引用文献に記載された「比活性」により,Xの特許発明の「純度」の新規性を否定しようとした。

 しかし,引用文献にアカルボースの純度や精製方法は示されておらず,また,優先日以前にアカルボースの純度の測定方法が知られていたことを示す証拠はなかった。
 引用発明の比活性が純粋なアカルボースの比活性を上回るという矛盾もあった。



<判旨と解説>

1.発明の同一性(本件特許発明と引用文献に記載された発明は同一か?)

・本件特許発明と引用文型に記載された発明の比活性量が極めて近く、引用文献に記載されたアカルボースの純度は,厳密には確定できないとしても,100重量%又はそれに極めて近接したものであると認められる。
・引用文献にアカルボースの純度は開示されていなかったが,「『精製アカルボース組成物』におけるアカルボース以外の成分が不純物であることに照らせば,比活性が高いほど,それに比例してアカルボースの純度も高くなるものと解され,そのことは問う業者であれば容易に想定できるものであると認められる」。
・「比活性により規定されるアカルボースと当該純度のアカルボースが物質として同一であることを否定するのは,不合理といわざるを得ない」。

 以上のこと等から、「純度100重量%またはそれに極めて近接した純度のアカルボースが引用文献にに記載されていたものとするのが相当といえる。」
 (本件特許発明と引用文献に記載されたアカルボースの比活性の差は、測定誤差の範囲内と推測される)


2.実施可能性と刊行物適格性
 引用文献が「刊行物」といえるためには,一般に出願時の技術水準を基礎として,当業者において「特別の思考を要することなく,当該発明を実施しうる程度に」発明が開示されていなければならない。

(1)新規性に対す引用文献の実施可能性

 引用文献にアカルボースの精製方法の記載がなかったため,刊行物適格性が争われた。
 判決ではXが引用文献公開時に高純度のアカルボースを得ていたこと,およびアカルボースの精製方法が従来知られていたことに加え,一般に精製の繰り返しにより高純度の化学物質を取得できるという科学常識を認定し,当業者が出願時に高純度のアカルボースを得ることが可能であったとの結論を導いた。
→ 新規性の文脈で刊行物記載の発明に実施可能要件を求めるのは,引用文献の信頼性の担保に目的がある。そうであれば,出願前の技術水準によって一応利用可能な発明が開示されたときは,「特別の思想を要することなく実施できる程度」までなくとも新規性が失われると考えることもできる。

(2)明細書の記載要件としての実施可能性
 「本件特許の出願時において,当業者が,本件明細書の特許の詳細な説明に記載された精製方法によって,純度98重量%を超える精製アカルボース組成物を容易に得ることができたと認めることはできない」。
→ 明細書の記載要件としての実施可能性は,特許と公開の代償関係から導かれる。



 まとめと感想
 発明の同一性は,検索式で同一又は類似の特許が含まれる蓋然性の高い文献集合を作り,その文献を読み込むときに必要な考え方だと思いました。
 引用文献に記載された発明と本願記載の発明で,表現(特性など)が違うというだけの理由で異なる発明と判断すると,新規性を否定する文献を見逃すことになると思います。

 引用文献記載の発明に関する発明の開示についても,状況に応じて「どの程度の記載があれば十分か」を意識することが必要だと思いました。
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2012年04月03日

工業所有権調査のときに参考になる法令

 産業財産権(工業所有権)の調査をするとき、知っていると便利な法令について、条文と工業所有権法(産業財産権法)逐条解説に記載されている箇所をまとめてみました。
 調査をするときの参考に御活用下さい。

調査に必要な法令の知識 ニーズデザイン.xls
(クリックすると、エクセルファイルのダウンロードができます)

 表の「内容」の項目は、条文の内容を大まかに記載したものです。
 詳細については、各条文または工業所有権法(産業財産権法)逐条解説を御確認下さい。

 尚、この資料はあくまでも調査のために作成したものであり、出願等の実務に必要な全ての条文を掲載したものではありません。

<脚注>

注1 特許法67条2項に基き5年間延長。
注2 商標法20条に基づく更新。
注3 意匠法25条に基づき、意匠の範囲を特許庁に対し判定を求めることができる。
注4 プログラムが含まれることに注意(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 1080ページ)。


<参考資料>

・特許法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO121.html
・実用新案法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO123.html
・意匠法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO125.html
・商標法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO127.html
・工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第18版〕
 http://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/cikujyoukaisetu.htm
・第18版 産業財産権四法対照 (PATCH企画 2011年)

 万一、記載内容に誤りなどがありましたら、お手数ですがニーズデザインの長内まで御連絡下さい。
 連絡先:needs_design@Safe-mail.net
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2012年02月13日

プロダクト・バイ・プロセス・クレームを考える その2 プロダクト・バイ・プロセス・クレームと特許調査

 本願の請求項記載の発明がプロダクト・バイ・プロセス・クレームである場合の先行技術調査と、侵害回避調査において引用文献の請求項記載の発明がプロダクト・バイ・プロセス・クレームであった場合の対応について考えてみました。

 前回の記事と重複した部分が多いので、悪しからずご了承下さい。
 尚、この記事の記載内容に誤り、または訂正すべき点等がありましたら、大変お手数ですがニーズデザインまでご連絡頂ければ嬉しいです。



1.先行技術調査

 発明の新規性、進歩性、及び先願の有無を審査する特許の実体審査の判断は、特許・実用新案審査基準に基づいて行われます。
 発明者に対し審査請求の判断材料を提供する目的で行われる先行技術調査においても、特許審査基準に基づいて行うべきです。
 従って、本願の請求項がプロダクト・バイ・プロセス・クレームにより記載されている発明の先行技術調査は、以下の方法によって行うことが望ましいと考えられました。


(1)請求項記載の発明の解釈
@ 請求項記載の発明は、最終的に得られた生産物を意味すると解する。
A ただし、請求項の記載が明確であっても、請求項に記載された用語(発明特定事項)の意味内容が明細書及び図面において定義又は説明されている場合は、その用語を解釈するにあたってその定義又は説明を考慮する。


(2)新規性及び進歩性の判断

 プロダクト・バイ・プロセス・クレームの新規性及び進歩性の判断に対し、合理的な疑いを抱くケースは次の通りです。

@ 新規性
・請求項に係る発明と出発物質が類似で同一の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・請求項に係る発明と出発物質が同一で類似の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・出願後に請求項に係る発明の物と同一と認められる物の構造が判明し、それが出願前に公知の発明から容易に発明できたものであることが発見された場合
・本願の明細書若しくは図面に実施の形態として記載されたもの又はこれと類似のものについての進歩性を否定する引用発明が発見された場合

A 進歩性
・請求項に係る発明と出発物質が類似で同一の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・請求項に係る発明と出発物質が同一で類似の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・出願後に請求項に係る発明の物と同一と認められる物の構造が判明し、それが出願前に公知の発明から容易に発明できたものであることが発見された場合
・本願の明細書若しくは図面に実施の形態として記載されたもの又はこれと類似のものについての進歩性を否定する引用発明が発見された場合

 ただし、引用文献の発明がプロダクト・バイ・プロセス・クレームによって記載されたものである場合は、これらの扱いをしません。


(3)先願の判断(特許法39条)

 特許・実用新案審査基準(「第4章 特許法第39条 3.6 製造方法による生産物の特定を含む請求項についての取扱い」によると、「当該生産物と先願発明の物との厳密な一致点及び相違点の対比を行わずに、審査官が、両者が同じ物であるとの一応の合理的な疑いを抱いた場合には、第39条に基づく拒絶理由を通知する。」との記載があります。
 ただし、引用文献の発明がプロダクト・バイ・プロセス・クレームによって記載されたものである場合は、これらの扱いをしません。

・請求項に係る発明と出発物質が類似で同一の製造工程により製造された物の先願発明を発見した場合
・請求項に係る発明と出発物質が同一で類似の製造工程により製造された物の先願発明を発見した場合
・出願後に請求項に係る発明の物と同一と認められる物の構造が判明し、それが先願発明であることが発見された場合
・本願の明細書若しくは図面に実施の形態として記載されたものと同一又は類似の先願発明が発見された場合

 尚、この特例の手法を使わずに第39条の判断を行うことができる場合には、通常の手法により引用文献が先願であるかを判断をします。



2.侵害回避調査

 実体審査が特許庁により行われるものであるのに対し、特許権侵害訴訟は裁判所で行われます。
 従って、侵害回避調査の場合は判例に基づいた調査が有効であると考えられました。
 平成22年(ネ)第10043号の判例(http://www.ip.courts.go.jp/documents/pdf/g_panel/10043.pdf)では、プロダクト・バイ・プロセス・クレームで請求項に記載された発明は、物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において不可能又は困難である場合と、それ以外の場合では、権利範囲が異なることが示唆されました。

 そこで、侵害回避調査の結果、引用文権の請求項記載の発明がプロダクト・バイ・プロセス・クレームである場合、

@ 引用文献の請求項記載の発明が、物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において、不可能又は困難である場合(真性プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)。
→ 発明の技術的範囲は,「特許請求の範囲に記載された製造方法に限定されることなく、同方法により製造される物と同一の物」と解釈される。

A 引用文献の請求項記載の発明が、物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において、不可能又は困難であるとは言えない場合(不真性プロダクト・バイ・クレーム)。
→ 発明の技術的範囲は、「特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物」に限定されると解釈される。

 @の場合は、「製造された物」に対して、権利侵害となる可能性を検討する必要があります。
 Aの場合は、「引用文献の請求項記載の製造方法で生産された物」に対して、権利侵害となる可能性を検討します。

 侵害回避調査をする立場としては、問題になるのは、引用文献の発明が真性プロダクト・バイ・クレームか、不真性プロダクト・バイ・クレームかの判断だと思いました。
 明細書に「物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において、不可能又は困難である」といった内容の説明が記載されていれば、それを参考に判断できると思われます。
 もしこのような記載がない場合は、出願当時の技術常識などから判断するなどの対応が必要と考えられました。
タグ:特許
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2012年02月06日

プロダクト・バイ・プロセス・クレームを考える その1 特許の審査と訴訟における請求項の解釈の違い

 化学などの技術分野の発明では、物質の構造などで発明を特定できない物があります。
このような場合、特許の請求項では製造方法で物を特定し、例えば「〜の方法によって製造された物質」といった表現をします。
 製造方法で物の発明を特定した請求項を、「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」と言います。
 プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて特許・実用新案審査基準と特許権侵害差止請求控訴事件の判例(平成22年(ネ)第10043号 以下、「判例」と記載)を読み比べてみました。

 今回は「特許の審査と訴訟における請求項の解釈の違い」と題し、審査と侵害差止請求事件におけるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈の違いを紹介します。



1.審査基準における請求項の解釈

 出願した発明の新規性(特許法29条第1項各号)と進歩性(特許法29条第2項)を判断、または判断材料の提供を目的として行う先行技術調査では、特許・実用新案審査基準に基づいた調査をする必要があります。

1−1 新規性

 特許・実用新案審査基準によると、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの新規性の判断の方法について、次のような記載があります。

 請求項中に製造方法によって生産物を特定しようとする記載がある場合には、1.5.1(2)にしたがって異なる意味内容と解すべき場合を除き、その記載は最終的に得られた生産物自体を意味しているものと解する(注)。
 したがって、請求項に記載された製造方法とは異なる方法によっても同一の生産物が製造でき、その生産物が公知である場合は、当該請求項に係る発明は新規性が否定される。

 注意書きには、「出願人自らの意思で、「専らAの方法により製造されたZ」のように、特定の方法によって製造された物のみに限定しようとしていることが明白な場合であっても、このように解釈する。」という記載があります。

 審査における本願と引用文献の対比については、特許・実用新案審査基準には次のように記載されています(参考資料2)。


 当該生産物と引用発明の物との厳密な一致点及び相違点の対比を行わずに、審査官が、両者が同じ物であるとの一応の合理的な疑いを抱いた場合には、その他の部分に相違がない限り、新規性が欠如する旨の拒絶理由を通知する。
 ただし、引用発明特定事項が製造方法によって物を特定しようとするものであるような発明を引用発明としてこの取扱いを適用してはならない。

 プロダクト・バイ・プロセス・クレームで記載された発明について、審査官が一応の合理的な疑いを抱く例は次の通りです(ただし、特例の手法によらずに新規性の判断を行うことができる場合には、通常の手法によって対応します)(参考資料2)。

・請求項に係る発明と出発物質が類似で同一の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・請求項に係る発明と出発物質が同一で類似の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・出願後に請求項に係る発明の物と同一と認められる物の構造が判明し、それが出願前に公知であることが発見された場合
・本願の明細書若しくは図面に実施の形態として記載されたものと同一又は類似の引用発明が発見された場合



1−2 進歩性

 特許・実用新案審査基準によると、プロダクト・バイ・プロセス・クレームで記載された発明の進歩性の判断について、次のように記載されています(参考資料3)。

 当該生産物と引用発明の対応する物との厳密な一致点及び相違点の対比を行わずに、審査官が、両者が類似の物であり本願発明の進歩性が否定されるとの一応の合理的な疑いを抱いた場合には、進歩性が欠如する旨の拒絶理由を通知する。
 ただし、引用発明特定事項が製造方法によって物を特定しようとするものであるような発明を引用発明としてこの取扱いを適用してはならない。

 審査官が一応の合理的な疑いを抱く例は、次の通りです。

・請求項に係る発明と出発物質が類似で同一の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・請求項に係る発明と出発物質が同一で類似の製造工程により製造された物の引用発明を発見した場合
・出願後に請求項に係る発明の物と同一と認められる物の構造が判明し、それが出願前に公知の発明から容易に発明できたものであることが発見された場合
・本願の明細書若しくは図面に実施の形態として記載されたもの又はこれと類似のものについての進歩性を否定する引用発明が発見された場合



2.特許権侵害差止請求における請求項の解釈

2−1 特許権侵害差止請求控訴の事例

 プロダクト・バイ・プロセス・クレームで記載された発明の侵害に関する判例は、平成24年1月27日に知財高裁の大合議で出された判決(平成22年(ネ)第10043号)が参考になります(参考資料4)。
 この判例は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームで記載された発明の侵害は、クレームに記載された製造方法によって製造された物に限定されるとした事例です。
 この事案は、本件は,発明の名称を「プラバスタチンラクトン及びエピプラバスタチンを実質的に含まないプラバスタチンナトリウム,並びにそれを含む組成物」とする特許権(特許第3737801号)を有する控訴人が,被控訴人に対し,被告製品は控訴人の特許権を侵害するとして,被告製品の製造販売の差止め及び在庫品の廃棄を求めた事案で、特許権の請求項に記載された発明は、製造方法で物を特定したものでした。
 重要な争点は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈でした。

 判決文(要旨)の「(1) 特許権侵害訴訟における特許発明の技術的範囲の確定について」のアに、特許権侵害を理由とする差止請求又は損害賠償請求が提起された場合にその基礎となる特許発明の技術的範囲を確定するに当たっては,「特許請求の範囲」記載の文言を基準とすべきである。
 特許請求の範囲に記載される文言は,特許発明の技術的範囲を具体的に画しているものと解すべきであり,仮に,これを否定し,特許請求の範囲として記載されている特定の「文言」が発明の技術的範囲を限定する意味を有しないなどと解釈することになると,特許公報に記載された「特許請求の範囲」の記載に従って行動した第三者の信頼を損ねかねないこととなり,
法的安定性を害する結果となる。
 そうすると,本件のように「物の発明」に係る特許請求の範囲にその物の「製造方法」が記載されている場合,当該発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物に限定されるものとして解釈・確定されるべきであって,特許請求の範囲に記載された当該製造方法を超えて,他の製造方法を含むものとして解釈・確定されることは許されないのが原則である。

 と記載されています。

 イでは、プロダクト・バイ・プロセス・クレームを便宜上「真性プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」と「不真性プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」の2つにわけて判断していました。

・「真性プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」
=物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するため、製造方法によりこれを行っているとき。
 発明の技術的範囲は,「特許請求の範囲に記載された製造方法に限定されることなく、同方法により製造される物と同一の物」と解釈される。

・「不真性プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」
=物の製造方法が付加して記載されている場合において,当該発明の対象となる物を,その構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するとはいえないとき。
 発明の技術的範囲は、「特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物」に限定されると解釈される。

 プロダクト・バイ・プロセス・クレームが真性プロダクト・バイ・プロセス・クレームか不真性プロダクト・バイ・プロセス・クレームであるかの判断は、真正プロダクト・バイ・プロセス・クレームに該当すると主張する者が「物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において不可能又は困難である」ことについての立証できるか? で判断される。(立証できない場合は不真性プロダクト・バイ・プロセス・クレームとして、発明の技術的範囲を特許請求の範囲の文言に記載されたとおりに解釈・確定するのが相当)との趣旨が記載されていました。



3.考察

 プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて特許・実用新案審査基準と判例の読み比べた結果、審査では製造方法によって特定された物の発明を「物の発明」として扱っています。
 一方、特許権侵害差止請求控訴事件の判例では請求項の記載内容に忠実に従い、発明された物がその構造または特性により直接的に特定することが出願時において不可能または困難であると主張できない場合は、請求項記載の物の発明は請求項に記載された製造方法に限定されるとして扱われていました。
 平成22年(ネ)第10043号の判決を受けて、製造方法により特定された物の発明を特許出願し、権利行使を目指す場合は、明細書に発明された物がその構造または特性により直接的に特定することが出願時において不可能または困難であるとの主張を記載することが望ましいと思われました。
 余談ですが、製造方法について権利化する場合は、特許・実用新案審査基準の記載内容に合わせて、製造方法の特許として請求項を記載する必要があります。



4.参考資料

1 特許・実用新案審査基準 第2章 新規性・進歩性1.5.1(3)製造方法によって生産物を特定しようとする記載がある場合(プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_ii-2.pdf

2 特許・実用新案審査基準 第2章 新規性・進歩性 1.5.5 新規性の判断(4) 製造方法による生産物の特定を含む請求項についての取扱い
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_ii-2.pdf

3 特許・実用新案審査基準 第2章 新規性・進歩性 2.7 製造方法による生産物の特定を含む請求項についての取扱い
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_ii-2.pdf

4 平成22年(ネ)第10043号 特許権侵害差止請求控訴事件
http://www.ip.courts.go.jp/documents/pdf/g_panel/10043.pdf
(平成23年2月5日現在、知財高裁のサイトには要旨のみが掲載されています)



 次回のブログでは、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの特許調査について書く予定です。

 異論、記載内容の誤り、ご意見などがありましたら、お手数ですがneeds_design@Safe-mail.netまで
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2012年02月02日

海外・新興国進出へ 海外商標調査を始めました。

 安心・確実な海外商標調査サービスです。

 2012年2月20日より、海外の商標調査サービスを開始します。
 2012年2月19日24時までに海外商標調査サービスの予約をされた方へは、特別価格1万5千円でサービスを提供致します。

 ビジネスのチャンスを求めて海外進出を目指す方、新興国での製品やサービスの販売を目指す方などへおすすめです。



1.ニーズデザインの海外商標調査サービスの特徴

 ニーズデザインの海外商標調査は、提供するサービスの内容を商標の調査のみに特化しています。
 商標調査だけを希望されるお客様にとって、使い勝手が良いサービスを追及し、高品質な結果を提供します。
 現地代理人とのやりとり、商標の使用状況の調査などは対応できませんので、悪しからずご了承下さい。


2.商標調査の効果

 商標調査をすることにより、より確実な商標登録を目指すために必要な情報を入手する効果があります。
 商標出願以外には、他社の権利侵害を回避するための情報を得る、ドメイン名、商品名、ブランド名などを決める際の判断材料としても利用できます。
 商標調査の結果は、ブランド戦略の構築にご活用下さい。


3.調査対象国

 ニーズデザインの商標調査の対象国は、先進国から新興国まで広範囲にカバーしています。
 2012年2月現在、調査可能な機関、地域、及び国のデータベースは以下の通りです。

・WIPO
・TMviw
・CTM
・WOA
・INN
・カナダ
・アメリカ(連邦及び州)
・メキシコ
・アンドラ
・アイルランド
・フィンランド
・ポルトガル
・オーストリア
・フランス
・ルーマニア
・ベルギー
・オランダ
・ルクセンブルグ
・ドイツ
・ロシア共和国
・ブルガリア
・ハンガリー
・スロバキア
・クロアチア
・スロベニア
・イタリア
・スペイン
・キプロス
・ラトビア
・スウェーデン
・ウクライナ
・チェコ
・リトアニア
・スイス
・デンマーク
・ノルウェー
・イギリス
・エストニア
・ポーランド
・トルコ
・アルゼンチン
・チリ
・パラグアイ
・ウルグアイ
・コロンビア
・オーストラリア
・日本
・ニュージーランド
・香港
・ベトナム
・中国
・韓国
・ボリビア
・ブラジル
・アイスランド
・インド
・マカオ
・モンテネグロ
・パナマ
・ベルー
・フィリピン
・シンガポール
・台湾
・ベネズエラ


4.料金・納期

 通常料金は1回の調査で1区分につき3万5千円ですが、2012年2月19日24時までに海外商標調査サービスの先行予約をされた方へは、特別価格1万5千円でサービスを提供致します。
 商標数、国の数、ヒット件数などによる制限や料金の変更はありません。
 調査の結果お客様のご希望の商標が全て登録されていた場合、広範囲な国や地域で製品の販売やブランド戦略を構築する場合などを考えてサービスの内容を決定しました。
 納期は約1週間です(お急ぎの方はご連絡下さい)。


5.お問合せ先・お申し込み

 お申し込みは、メールに以下の内容を記載し、needs_design@Safe-mail.net へメールをお送り下さい。

・件名:海外商標調査
・メッセージ
 法人名
 部署
 御担当者名
 商標(希望される商標を全てお書き下さい)
 役務(商品またはサービスの内容を詳しくお書き下さい)
 区分(わからない場合は空白で構いません。こちらで確認の上、ご連絡を差し上げます)
 備考

 ご質問、お問い合わせなどがありましたら、お気軽にご連絡下さい。



ニーズデザイン(個人事業主) 代表 長内悟
・ メール needs_design@Safe-mail.net
・ 電話 090-6165-5071
・ 事業サイト http://needs-design.twinstar.jp/
タグ:サービス
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2012年01月15日

技術情報を調べる その2 NDL-OPACで検索式を使って資料を探す

 国立国会図書館で2012年1月から運用が開始された、新しいNDL-OPACの使って資料を探す方法を紹介します。



 <国会図書館を利用する理由>

 私が公知例調査、技術調査などで国会図書館を頻繁に利用する理由は、資料の量が多いことです。
 納本制度により国内で流通されたすべての出版物が国会図書館へ納入されるため、国会図書館で国内の全ての出版物を閲覧することができます。
 そのため、図書や電子資料に掲載されていることが明らかな資料を閲覧する場合、国会図書館を利用すれば確実に資料を閲覧することができます。



<NDL-OPACを利用する理由>

 NDL-OPAC(https://ndlopac.ndl.go.jp/F/H3K8XQQ48UE7K1VGJ68NN6RJ661AG1JT97S78RHBD4DJ2YAX2Y-00058?func=file&file_name=login&%3FRN=71765922&pds_handle=)は、国立国会図書館にある蔵書の検索と閲覧申し込みができるシステムです。
 国会図書館の蔵書のほとんどは閉架に保存されており、図書を指定して閲覧の申請します。
 そのため、国会図書館を利用する場合には、目的の情報が記載されている可能性がある本や雑誌、あるいは雑誌記事などの検索を効率的かつ的確に検索し、目的の資料を探すことが望ましいです。
 国会図書館の蔵書はNDL-Searchでもできますが、NDL-OPACは検索式を利用して高精度な検索結果を出すことができるため、私はNDL-OPACを利用しています。



<登録利用者IDについて>

 検索機能のみを利用する場合は登録する必要がありませんが、登録IDを持っていると、国会図書館で手続きが楽、事前にインターネットで図書の予約ができる、NDL-OPACに検索履歴の保存ができる、郵送による複写資料の取り寄せができる、などといったメリットがあります。
 登録は国会図書館でできる他、郵送による登録(http://www.ndl.go.jp/jp/information/guide.html)も可能です。



<NDL-OPACで検索式を使う>

 NDL-OPACでは、簡易検索、詳細検索、雑誌記事、規格リポート類、占領関係、検索式、検索語一覧といった検索が可能です。
 このブログでは、検索式を使った検索方法について紹介します。
 (実際にNDL-OPACの画面を見ながらこのブログを読むことをおすすめします)

 国立国会図書館のトップページ(http://www.ndl.go.jp/index.html)にある、「資料の検索」から「NDL-OPAC」を選び、NDL-OPACにアクセスします。
 IDを持っている方はIDとパスワードを入力してログインします。
 「検索式」のタブをクリックします。


1.入力画面の解説

・ソフトキーボード:クリックすると、マウスで操作するひらがなのキーボードが表示されます。
・検索式の入力:検索式を入力する場所です。
・広範囲に検索:ここにチェックを入れると、キーワードの文字の断片を含めた検索結果が表示されます。日本語、中国語、韓国語で利用可能。
・フレーズ検索:ここにチェックを入れると、スペースで区切られた2つの単語でフレーズ検索します。欧文のみで利用可能。


2.検索コード(特許データベースのコマンドのようなもの)の解説

 検索コードの一覧は検索画面の「検索のヒント」の右にある「コード一覧」の文字をクリックすると表示される他、ヘルプ画面(「?」をクリック)の6-2に記載されています。

 「コード一覧」に記載されている通り、NDL-OPACの検索コードには部分一致で検索できるものと、完全一致と前方一致で検索できるものがあるので、使い分けに注意が必要です。
 完全一致と前方一致で検索できる検索コードは、キーワードの後に半角の「*」をつけると前方一致で検索できます。
 たとえば、図書のタイトルを検索する場合は、部分一致で検索したいときには「WTI」、「WMTI」、または「WSRS」を使います。
 タイトルを完全一致または前方一致で検索したいときには、「TIT」、「SRS」、または「UTI」を使います。
 また、部分一致でタイトルを検索できる検索コード、「WRD」、「WTI」、「WMTI」、および「WSRS」は階層構造になっているので、検索式の作成の際に目的の資料を効率的に探せるように、工夫して使って下さい。

 検索コードは、「検索コード=キーワード」のように入力します。


3.演算子の解説

 利用できる演算子は、以下の通りです。

・AND
・OR
・NOT
・ワイルドカード"?"および"*"(欧文のみで利用可)

 AND、OR、およびNOTの前後には、半角スペースを入れます。


4.検索式の入力
 検索コードを使用した検索式では、ORでキーワードを足す場合に半角小カッコが利用できます(実証済み)。
 文字の前に検索コードが記載されていないキーワードは、そのままキーワードとして扱われて検索します。
 ORで足したキーワードにANDで別のキーワードをかける場合は、ANDの キーワードの前に「検索コード=」をつける必要があります。

 例:リンゴジュースまたはミカンジュースがタイトルに含まれる資料を検索する場合、

・検索式「WTI=(りんご OR みかん) AND WTI=ジュース」を入力
 → 検索条件 タイトル= りんご or みかん AND タイトル= ジュース で検索される。

・検索式「WTI=(りんご OR みかん) AND ジュース」を入力
 → 「タイトル= りんご or みかん AND キーワード= ジュース」と表示

・検索式「WTI=((りんご OR みかん) AND ジュース)を入力
 → 「タイトル= りんご or みかん and ジュース」で検索される
 (りんご or みかん)のカッコが無視される?

 なお、検索条件は「検索結果一覧」の文字の下に表示されます。


 
5.検索条件の管理

 画面の上にある「検索履歴」をクリックすると、自分が検索したときの検索条件と検索結果のリストが表示されます。
 検索条件を保存する場合には、保存したい検索条件にチェックを入れて、「保存」をクリックします。
 保存した検索条件は、画面の上にある「保存履歴」をクリックすると一覧が表示されます。



6.検索結果のかけあわせ

 画面の上にある「検索履歴」をクリックして、複数の検索条件を選択し、「かけあわせ」をクリックすると、入力した検索条件を組み合わせた検索ができます。
 検索のかけあわせは、

・すべての条件に一致する
・いずれかの条件に一致する
・ No.1の条件には一致するが、No.2の条件には一致しない
※3つ以上を選択している場合は使用できません。
・No.2の条件には一致するが、No.1の条件には一致しない
 ※3つ以上を選択している場合は使用できません。

 のいずれかひとつを選ぶことができます。



7.検索結果のダウンロードとマイリストへの追加
 これらの機能は、事前に資料を検索し、後日図書館で閲覧の申請をする場合などに便利です。

 検索結果から資料を選択し、リストの一番上にある「ダウンロードする」をクリックすると、資料の情報をdat形式でダウンロードすることができます。
 検索結果から資料を選択し、リストの一番上にある「マイリストに追加する」をクリックすると、メモを付加してマイリストに追加することができます。
 マイリストに保存された資料の情報は、画面の上にある「マイリスト」をクリックすると表示されます。



 尚、国会図書館の正式な検索サービスは、「国立国会図書館サーチ」(NDL Search)です。
 NDL Searchは126個のデータベースを横断検索することが可能で、最寄の都道府県立図書館などの所蔵の有無や貸し出し状況を見ることもできます。
 国立国会図書館サーチの詳細については、「機能概要」(http://iss.ndl.go.jp/information/function/#1)をご確認下さい。
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2011年11月14日

技術情報を調べる その1 検索の基礎とデータベース

 技術情報を調べる
 その1 検索の基礎とデータベース



 今回のシリーズのテーマは、「技術情報を検索する」です。
 特許にかかわる方だけではなく、技術情報やビジネスの情報を調べたい方、研究開発に携わっている方へも対応できるように記事を書く方針です。

 特許の先行技術調査、技術動向の調査、無効資料調査では、非特許文献(公開公報、特許公報、実用新案公報など、特許や実用新案以外の文献)を調べる必要がある場合が多々あります。
 研究開発では、技術の動向や特定の技術の詳細な情報や文献を調査することがあります。
 これらの調査をする場合、どのようにすればいいのでしょうか?
 シリーズ第1回では、前半ではGoogleを使った検索の基本的な考え方と検索式、後半では技術や学術情報の調査に利用できるデータベースを紹介します。


1.検索の基本的な考え方と検索式

(1)検索の目的を明確にする。
 的確な調査を効率的に行う場合、検索の目的、内容、調査の範囲などを明確にすることが大切です。
 例として、「お茶の入れ方」を検索してみます(あくまでも例です)。
 検索式を作るときは、「どのようなお茶か?」、「どのような飲み方を知りたいか?」など、検索の対象を具体的に決めると良いでしょう。


(2)検索式を考える
 検索の目的に基づいて、正確な検索式を作ります。
 検索式を作るときは、「演算子」を理解する必要があります。
 Google の場合は、「検索オプション」(http://www.google.com/support/websearch/bin/answer.py?hl=ja&answer=35890&rd=1)、「その他の検索のヘルプ」(http://www.google.com/support/websearch/bin/answer.py?hl=ja&answer=136861&topic=1221265)などが参考になると思います。
 尚、演算子の記載方法はデータベースによって違うので、利用するデータベースやサイトを御確認下さい。

@ AND
 「お茶の入れ方」という検索の目的を考えると、「お茶」と「入れ方」の2つの情報を両方とも含むサイトを探さなければいけません。
 複数のキーワードを全て含む結果を得るための検索では、「AND」を使います。
 Google の場合は、デフォルト(スペース)がAND検索と言われていますが、検索式を説明するためにキーワードの間に半角大文字のANDを入れて、「お茶 AND 入れ方」と描いて検索してみます。

A OR
 お茶と言っても、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶、紅茶など、様々な種類があります。
 これらのお茶の中から、緑茶かほうじ茶のいずれか一方のいれ方を調べる場合、どのようにすればよいでしょうか。
 複数のキーワードのどれか1つが含まれる結果を得るための検索では、「OR」を使います。
 Google のOR検索では、キーワードの間に半角大文字の「OR」か「|」を入れるので、「緑茶 OR ほうじ茶」と書きます。
 算数のかけ算が足し算より優先されるのと同じように、ANDがORよりも優先されます。
 そのため、「緑茶かほうじ茶のどちらかのいれ方」を調べるときには半角カッコを使って、「(緑茶 OR ほうじ茶) AND いれ方」と検索式を書きます。

B NOT
 検索結果に「販売」を入れたくない。
 このように特定のキーワードに対応した結果を除きたいときは、「NOT」を使います。
 Google の演算子では、NOTは半角のマイナスです。
 マイナスの前にスペースを入れて、マイナスと取り除きたいキーワードの間にはスペースを入れません。
 「(緑茶 OR ほうじ茶) AND いれ方 -販売」

 今回は検索式の例として「お茶の入れ方」を題材にしました。
 技術情報や文献を調べる場合、検索式は情報を的確に調べるための手段として有効です。



2.各種データベース
 技術調査に有用と思われるデータベースをまとめてみました。
 調査の目的に合わせ、適切なデータベースを選ぶことが最適な調査につながります。
 従量課金制のデータベースを利用する場合は、無料のデータベースで予備検索するなど、低コストで効率的な調査をする工夫をお勧めします。


<技術情報の検索>
 学術論文の検索をする場合、ここで紹介するデータベースの他に各技術分野ごとに文献データベースがあります。
 (技術分野別のデータベースの紹介は、今回は省略します)

・JDreamU(有料)
 http://pr.jst.go.jp/jdream2/
 科学技術振興機構が提供する、科学技術情報のデータベース。

・CiNii
 http://ci.nii.ac.jp/
 国立情報学研究所が運営する、国内の論文検索と大学図書館の本を検索するシステムです。


・コンピュータソフトウェアデータベース(CSDB)検索
 http://www.ipdl.inpit.go.jp/Csdb/csdba.ipdl?N0000=160
 特許庁が提供する、マニュアル、単行本、国内技術雑誌、国内学会論文、企業技報、予稿集のデータベースです。

・Google Scholar
 http://scholar.google.co.jp/
 グーグルが運営する学術資料検索サイト。
 検索範囲等は不明です。
 私自身はほとんど使っていませんが、参考までに紹介しました。


<公開技法>

 公開技法は、自分の発明や技術を公開するための文献です
 特許文献の公開公報とは異なり、技術を公知(公然と知られた状態)にすることで、自分と同じ技術の権利化を防ぐ効果があります。
 公知にした技術は自分自身も権利化ができなくなるので、「自分では実施しないが、他人に権利化されると困る発明」がある場合に、公開技法を利用します。

・IPDL
 http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl
 特許庁のデータベース、IPDLの「特許分類検索」で、「資料型」の「公開技法」にチェックを入れると、公開技法を検索することができます。
 IPC、FI、Fタームのみでの検索で、キーワードは使えません。

・公開技法WEBサービス(一部有料)
 https://www.hanketsu.jiii.or.jp/giho/Menu01.jsp
 社団法人発明協会が運営する、公開技法検索のサービスです。
 書誌検索は無料です。


<図書館横断検索>

・Webcat Plus
 http://webcatplus.nii.ac.jp/
 江戸時代から現代まで、全国の大学図書館1000館や国立国会図書館の所蔵目録、新刊書の書影・目次DB、古書店の在庫目録、電子書籍DBなど、本に関する様々な情報を提供。

・国立国会図書館総合目録ネットワーク「ゆにかねっと」
 http://unicanet.ndl.go.jp/psrch/redirect.jsp?type=psrch
 このシステムは全国の都道府県立図書館・政令市立中央図書館・国立国会図書館の所蔵する和図書を、タイトル、著者・編者、出版社、件名、刊行年から検索するサービスですが、詳細な条件で和図書を検索したい場合、NDL−OPACで図書を検索し、その本のタイトルや著者などから「どこの図書館で閲覧できるか」を調べるといいでしょう。



<新聞・雑誌検索>
・全国新聞総合目録データベース
 http://sinbun.ndl.go.jp/o_eturan.htm
 国内外の新聞について、新聞名、新聞の形態、出版者・編者、出版年、出版都道府県名、言語名などから検索できます。
 ただし、記事の内容を検索することはできません。

・ジーサーチの新聞・雑誌記事横断検索(有料)
 http://www.so-net.ne.jp/database/G-search/general/general_ohdan.html
 記事タイトルの文字列はもちろん、記事本文中の文字列も検索できます。

・@nifty ビジネス ビジネスデータ(有料)
 http://business.nifty.com/gsh/RXCN/
 新聞と雑誌(ビジネスと経済)の記事を横断検索できるデータベースです。

・BIGLOBEビジネスデータ
 http://index.biglobe.ne.jp/info/news/ip_sks.html(有料)
 新聞と雑誌(ビジネスと経済)の記事を横断検索できるデータベースです。


<データベース検索など>

 検索に使うデータベースを探すためのデータベースです。

・国立国会図書館 データベース検索サービス Dnavi
 http://dnavi.da.ndl.go.jp/bnnv/servlet/bnnv_user_top.jsp

・学術研究データベース・リポジトリ
 http://dbr.nii.ac.jp/infolib/meta_pub/G9200001CROSS
 人文科学のデータベースも充実。

・GeNii
 http://ge.nii.ac.jp/genii/jsp/index.jsp
 国立情報学研究所が提供する、学術情報ポータルサイト。
 研究課題と成果、分野別専門情報の検索、教育と成果の検索などにどうぞ。


<ウェブアーカイブの検索>
 インターネット上で公開されている有用な情報を文化遺産として保存するプロジェクトです。
 これらのアーカイブに掲載されている情報は、収集した当時の「過去の情報」です。
 最新の情報が必要な方は、検索サイト等で調べて下さい。

 国内
・国立国会図書館 インターネット資料収集保存事業
 http://warp.da.ndl.go.jp/search/

・国立国会図書館 デジタルアーカイブポータル 「PORTA」(国内各機関が公開するデジタルアーカイブを統合検索するシステム)
 http://porta.ndl.go.jp/

・農林水産研究情報総合センター(AGROPEDIA Webアーカイブ)
 http://www.affrc.go.jp/Agropedia/

 海外
・大韓民国 国立中央図書館(OASIS)
 http://www.oasis.go.kr/ctrlu?cmd=main

・台湾 国家図書館(Web Archive Taiwan)
 http://webarchive.ncl.edu.tw/nclwa98Front/

・台湾 台湾大学附属図書館(NTUWAS)
 http://webarchive.lib.ntu.edu.tw/

・アメリカ合衆国 議会図書館(Minerva)
 http://lcweb2.loc.gov/diglib/lcwa/html/lcwa-home.html

・アメリカ合衆国 公文書館(Federal Web Harvests)
 http://www.webharvest.gov/collections/

・英国 UK Web Archiving Consortium
 http://www.webarchive.org.uk/ukwa/

・英国 The National Archives(View the UK Government Web Archive)
 http://www.nationalarchives.gov.uk/

・オーストラリア 国立図書館(PANDORA)
 http://pandora.nla.gov.au/

・Internet Archive(Wayback Machine)
 http://www.archive.org/index.php

 国際的機関
・IIPC(International Internet Preservation Consortium)
 http://www.netpreserve.org/about/index.php


<おまけ>

・点字図書・録音図書 全国総合目録検索(http://opac.ndl.go.jp/Process
 全国の図書館が製作する点字図書と録音図書を検索することができます。
 貸し出しは原則として視覚障害者の方に限られています。

・ 児童書総合目録
 http://kodomo3.kodomo.go.jp/web/ippan/cgi-bin/fKJN.pl?act=KW
 児童書について、タイトル、著者、出版者、件名、あらすじから検索できます。
 「あの話しの童話、どんなタイトルだったっけ?」といったお悩みに対応してます。
 検索結果が出ないときは、キーワードを変えるとヒットすることがあります。

・LIBWEB
 http://lists.webjunction.org/libweb/
 Thomas Dowlingが運営する、世界の図書館を検索するサイト。



 次回は国立国会図書館のデータベース、「NDL-OPAC」を使った資料の検索を紹介します。
タグ:技術調査
posted by ニーズデザイン at 19:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月12日

ドメインと商標権と不正競争防止法 おまけ

 おまけ ブランディング戦略とドメイン名と商標権

 「ドメインと商標権と不正競争防止法」のシリーズを書いて、ドメイン名を使う場合、ドメイン紛争だけでなく、商標権や不正競争防止法の視点からもトラブルが起きるリスクを考え、対策をとる大切さを感じました。
 ドメイン名をブランディングの一環として取得し、使用する場合、次のような方針でドメイン名を使用することが好ましいと思われました。


・自社のブランド名(事業ブランド、商品のブランドなど)とセカンドレベルドメインを統一する。
 自分のブランドと他のブランドを識別し、お客様に「どこのブランドのサイトか?」をわかりやすく示すことが目的です。

・同業他者の商品名、サービス名、事業名などと似ているドメイン名を避ける。
 消費者がドメイン名を見たとき、「どこの商品やサービスのサイトか?」、「どんなイメージを持つか?」を考えることが大切です。
 ブランド名とドメインを統一する場合、ブランド名をアルファベットだけの文字列で表記すると、消費者はどのようなイメージを持つでしょうか?

・ドメイン名の中で、「消費者が自分のサイトを識別する文字列はどこか?」を意識する。
 ブランド名の一部をドメイン名として使う場合は、ドメイン名の中から「ブランド名を識別できる文字列」を消費者目線で考えて、ドメイン登録することをお勧めします。

・冗長なドメイン名を避ける
 長いネーミングは、消費者が短縮して使う場合が多々あります。
 例えば「マクドナルド」の場合、「マック」、「マクド」などと呼ばれています。
 また、パソコンなどで長いURLを入力することは面倒なので、ユーザーの利便性を考慮して、短いセカンドレベルドメインを取得し、活用する場合もあります。
 短いドメイン名を使う場合は、前述したことと同様に、「ブランド名を識別できる文字列」を消費者目線で考える必要があります。

・ドメイン名の「商標としての使用」に注意。
 サイトのドメイン名をそのままブランド名として使う場合などは、そのドメインが商標として使用されたと判断される場合があるので注意が必要です。
 例えば、○○○.jp、△△△.comといったドメイン名を取得して、それをブランド名やサービスの名称として使う場合、他者の商標権に抵触しないかを調べることが大切です。

・ドメイン名を商標出願したいとき、自分のドメイン名が他者の商標権に抵触する可能性を調べたいときは?
 平成20年(行ケ)第10295号 審決取消請求事件の判例(詳しくは「ドメインと商標権と不正競争防止法 その3」をご覧下さい)では、.jpや.comのようなトップレベルドメインは出所識別標識としての呼称や観念が生じることはできないとの判断が示されていることから、セカンドレベルドメインについて商標権の調査を行うと良いでしょう。


 なお、登録できるドメイン名と商標権は異なる話しなので、他者の商標権侵害の回避や商標出願を行い、さらにドメインの取得を行う場合は、利用できるドメイン名の調査と商標調査の両方が必要です。
posted by ニーズデザイン at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月16日

ドメインと商標権と不正競争防止法  その4 ドメイン名に対し商標権侵害が認められた事例

 ドメインと商標権と不正競争防止法
 その4 ドメイン名に対し商標権侵害が認められた事例



 ドメイン名の使用で、商標権侵害は認められるか?
 企業や事業でインターネットのサイトが不可欠な今、このような問題を気にされる方もいらっしゃるとおもいます。

 今回紹介するのは、「ドメイン名の使用につき商標権侵害及び商標法上の先使用権の抗弁が認められた事例」(知財管理 Vol.56 No.4 2006 判例研究:No.301)です。
 このブログでは大まかな内容をまとめていますので、詳細を知りたい方は、論文をお読み下さい。

 この事例は、第1事件(平成14年(ワ)第13569号商標権侵害差止請求事件)と第2事件(平成15年(ワ)第2226号商標権侵害差止請求事件)の2つの争いがありましたが、今回は第1事件のみを紹介します。


 第1事件は、登録商標と同一または類似ドメイン名の使用が商標権侵害と認められ、損害賠償請求(一部)が認められた事例です。
 原告はG社、被告はD社でした。

 G社が登録した商標と類似したドメイン名(以下、「標章」と記載)をインターネット上で使用したD社を相手どり、D社の標章の使用の差止めと損害賠償請求をしました。
 
 以下、争点と判旨をまとめると、


ア D社はドメイン名を商標(ただの記号や文字列ではなく、商品やサービスを区別をするために使う標章)として使用していたか?

 D社のホームページの記述などから、D社がドメイン名をどのように使っていたか(「使用様態」といいます)が判断されました。
 ホームページに「ナントカ.JPは、〜」と書かれていたことから、D社がただのドメイン名としてではなく、商標として使っていたと判断されました。


イ D社の商標は、G社の登録商標と似ているか?

 判旨には、「二つ以上の語の組み合わせからなる文字商標は、全体において一体性が認められ、全体から一定の概観、呼称、または観念が生じることがなく、または、語の間に識別力に強弱があったり、語の中の一部が需要者に特に印象付けられたりする場合には、要部というべき一部を分離ないし抽出してその部分が有する概観、呼称、または観念による商標の類否判断をすべきである。」と述べられていました。
 D社の商標の場合は、その商標の要部がG社の登録商標と同じ外観(見た目)と呼称(呼び方や発音)と似ていて、観念(商標に対して、そのサービスや商品を利用する人が持つイメージ)も似ていると言えることが示された。


ウ D社がD社サイトで行っている行為とG社商標権の知ってい役務は類似するか

 商標が登録商標と似ているだけでは、商標権の侵害とは言えません。
 商標権の侵害といえるためには、登録商標の指定役務(商標登録の際に出願人が指定した商品やサービス)と、侵害したと主張される商標(以下、「当該商標」と記載)が同一または類似の役務(商品やサービス)に使用されている必要があります(商標法25条、37条1号)。

 役務が似ているかどうかの判断は、

・役務類似するか否かは、両者の役務に同一または類似の商標を使用したときに、当該役務の取引者ないし需要者に同一の営業主の提供に係わる役務と誤認させるおそれがあるかによって決めるべきであると解するのが相当。
・類否の判断にあたっては、取引の実情を考慮すべきであり、具体的には役務の提供の手段、目的または場所が一致するかどうか、需要者の範囲が一致するかどうか、業種が同じかどうかなどを総合的に判断すべきである。

 といった方針が示されています。

 D社がD社のサイトで行っている業務は、G社商標権の指定役務である電子計算機通信ネットワークによる広告の代理業務と同一ないし類似するということができると判断されました。

 以上の認定に基づき、裁判所はD社がD社サイトで提供する業務において、D社標章の使用はG社の商標権の侵害にあたるとし、その使用中のD社標章2および3の使用の差止めを認めた。
 また、D社にG社の損害賠償の支払いを命じ、G社のその余の請求を棄却した。


 以上のように、この事例では、ドメイン名の使用が商標権侵害と認められ、損害賠償請求も認められました。


 ちなみに論文に記載されている第2事件は、商標法上の先使用権が認められた事例です。
 第1事件とは逆に、原告がD社で被告がG社でした。

 「G社に先使用権は認められるか」という争点について、

・ D社商標出願時には、G社標章はインターネット上で求人事項の掲載等を行うG社の役務を示すものとして、東京、大阪、あるいは名古屋を中心とする地域において、就職活動に関心を持つ需要者層の間で広く認識されていたと認めるのが相当である(商標法31条1項の周知性の要件を満たす)。
・ G社の標章の使用は、不正競争を目的に出たものではない。

 と判断されました。


 私個人の感想として、

・ドメイン名を決めるときは、商標権侵害回避の努力をすることが望ましい。
 特に、自分が登録しようとするドメイン名と同じ商品やサービスを同業者が行っている場合は注意が必要。

・ドメイン名をURL以外に、(商品やサービスなどの名前)として使う場合は商標としての使用とみなされるケースがある。

・ブランディングなどで、ドメイン名と同じ商標を使う場合は、ドメイン名の主要なトップ・レベル・ドメイン以下の文字を商標登録することにより、模倣したサイトに権利行使できる可能性がある。

 といったことでした。


 ドメイン名を決める場合、そのドメイン名をとれるかとれないかだけで判断しがちです。
 しかし、ブランディングでドメイン名とサービスや商品の名前を統一する場合、商標調査の結果も含めてドメイン名を決めると、トラブルを避けやすくなると思います。
タグ:商標権
posted by ニーズデザイン at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

事業サイトURL変更のお知らせ


 2011年11月16日、事業サイトのURLを変更しました。
 ニーズデザインの新しいURLは、http://needsdesign.biz です。

 今後とも宜しくお願い申し上げます。
posted by ニーズデザイン at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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