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2017年12月02日

裁判例と審査基準から学んだ先行例調査・無効資料調査

裁判例と審査基準から学んだ先行例調査・無効資料調査

― 日本知財学会 第15回年次学術研究発表会 「知財高裁判決の傾向と特許庁審査基準等の対比」より ―


20171202 国士館大学キャンパス.jpg

 先行例調査や無効資料調査でより確実な結果を出すためには、どのような検索が望ましいか? 引例の選択でどのような考え方が必要なのか?
 そのヒントを学ぶため、日本知財学会第15回年次学術研究発表会のセッション、「知財高裁判決の傾向と特許庁審査基準等の対比」を聞いてきました。

 セッションでは、進歩性、新規事項、サポート要件の3つについて最近の裁判例の傾向と審査基準の比較について発表がありました。
 先行例調査や無効資料調査での検索やスクリーニングを考える上で、貴重な発表だったと思います。

 以下、サーチャーとしての立場から、進歩性についての発表の内容、配布資料の要点、私の個人的なメモをまとめてみました。


1.引用発明の認定
 審決取消訴訟において、本願発明の課題と引用発明の課題との差異を考慮することなく、形式的な記載のみに基づいて引用発明を認定した審決の判断を否定した裁判例。
→ 無効化する特許の請求項に記載された発明の構成のみの対比で引用文献を抽出せず、本願発明と引用発明の課題の差異を考慮して引用文献を抽出することが望ましい。
 → 検索時に対応(特許分類、キーワード、検索式への反映)するほか、スクリーニングでも課題の差異を意識する。


2.技術常識について
 技術常識は引用文献を参酌する。本願発明の明細書等の記載に基づいて技術常識を判断してはいけない。


3.動機付け
・技術分野の関連性
・課題の共通性
・作用、機能の共通性
→ 検索時に対応(特許分類、キーワード、検索式への反映)するほか、スクリーニングでもこれらの動機付けを意識する。

・引用発明の内容中の示唆。
→ スクリーニング時に見落とさないように注意。


4.動機付け
・引例適確性(主引例、副引例、周知技術)として採用することが適切か?)
→ 本願発明との関係に着目してスクリーニング。
・裁判では、周知技術は本願発明と引用文献の課題の共通性に基づいて認定されるケースが多い。
→ 「1.引用発明の認定」と同様の検索手法、スクリーニングの手法が効果的?


5.阻害要因
・組み合わせの阻害要因(副引例を主引例と組み合わせることに関する阻害要因)
→ 引例の選択時に対応。
・組み合わせに依拠しない阻害要因(本願発明と引例の関係)
 → 検索やスクリーニングを行う際に、本願発明と引例の関係を考慮して、効率的な引例の選択ができないか?


6.設計事項
・本願発明と、主引例と副引例の組み合わせで相違点がある。
→ 設計事項を検討。

・多数の裁判例では、明細書に数値範囲の技術的意義が記載されていない場合、それを理由に当業者が容易に設計し得る事項に過ぎないと判断された。
→ 数値限定発明の先行例調査、無効資料調査で活用可能。


7.有利な効果
・構成が用意想到でも発明の効果のみを理由に進歩性を認めた裁判例がある。
→ 先行例調査や無効資料調査では、発明の構成と引例の対比のみで進歩性を判断してはいけない。



 今回のセッションでは、進歩性の他、サポート要件や新規事項の追加についての言及もありました。いずれも無効理由となることから、サポート要件や新規事項追加を検討することも、無効化に有効な手段となり得ると思われますが、今回のブログでは割愛します。
 今回のセッションは特許調査を行う際にも参考になる、貴重な話しだったと考えております。




posted by NEDS at 23:24| 特許調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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