2011年02月07日

特許・実用新案の新規性とは

 日本の特許法では、発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のものをいう。」と規定されています(特許法第2条第1項)。
 産業上利用可能な発明が特許を受けるためには、発明に新規性(特許法29条第1項)と進歩性(特許法29条第2項)が必要です。


 新規性がなく、特許を受けられない発明には、どのようなものがあるのでしょうか。
 特許法29条第1項には、つぎのように記載されています。


特許法第29条第1項
産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明


 以下、「特許・実用新案審査基準」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun.htm)より、新規性の判断をまとめてみました。



<特許出願前はどのように判断されるか>

 「特許出願前」は、出願の時分も考慮されます。

 例
 ・ 日本国内で午前中に公知になった発明を、午後に特許出願した。
 ・ 海外で発明が公知になった時刻(日本時間に換算)、その時刻より後に特許出願をした。
 → 特許出願前に日本国内外において公然知られた発明。
 → 新規性がないため特許を受けることができない。



 <公然知られた発明>

 「公然知られた発明」は、不特定の人に「秘密ではないもの」として知られた発明のことです。
 発明者や出願人の意思は、関係ありません。
 例えば、出版物などの原稿を受け付けられたときは、不特定の人に知られる状態ではないため、「公然知られた発明」にはなりません。
 出版物が発行された場合、配布された場合などに、「公然知られた発明」になります。
 特許出願前に公然知られた発明は、新規性がないため、特許を受けることができなくなります。



<公然実施をされた発明>

 「公然実施された発明」とは、発明が「公然知られる状況」(技術説明や工場見学などで、当業者が見れば発明がわかる状況)、または、「公然知られる恐れのある状況」(工場見学などで、見ただけではわからない技術や製品を説明するなどの状況)で、発明が実施された場合のことを言います。
 特許出願前に公然実施された発明は、新規性がないため、特許を受けることができません。



<頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明>

 「領布された刊行物」は、「刊行物」を不特定の人が見られる状況のことを言います。
 そのため、実際に見た人がいたかどうかなどは、関係ありません。

 「刊行物に記載された発明」は、審査基準では、刊行物に記載されている内容から、「特許出願時の技術常識から当業者が導き出せる発明」も含まれると記載されています。


 刊行物が領布された時期は、審査基準では次のように判断されています。

 頒布された時期の取扱い
@刊行物に発行時期が記載されている場合は次のように推定する。
(@)発行の年のみが記載されているときは、その年の末日。
(A)発行の年月が記載されているときは、その年月の末日。
(B)発行の年月日まで記載されているときは、その年月日。

A刊行物に発行時期が記載されていない場合
(@)外国刊行物で国内受入れの時期が判明しているときは、その受入れの時期から発行国から国内受入れまでに要する通常の期間さかのぼった時期に、頒布されたものと推定する。
(A)当該刊行物につき、書評、抜粋、カタログなどを掲載した刊行物があるときは、その発行時期から、当該刊行物の頒布時期を推定する。
(B)当該刊行物につき、重版又は再版などがあり、これに初版の発行時期が記載されているときは、それを頒布時期と推定する。
(C)その他適当な手掛かりがあるときは、それから頒布時期を推定又は認定する。

B特許出願の日と刊行物の発行日とが同日の場合の取扱い
特許出願の日と刊行物の発行日とが同日の場合は、特許出願の時が刊行物の発行の時よりも後であることが明らかな場合のほかは、頒布時期は特許出願前であるとはしない。


 では、インターネットに製品や技術情報が掲載された場合はどうなるのでしょうか?
 審査基準によると、サイトやSNSの特性により判断が行われるようです。
 詳細は、「特許・実用新案審査基準」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun.htm)の「第5 章 インターネット等の情報の先行技術としての取扱い」をご確認ください。
posted by NEDS at 20:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 知財 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
Copyright (C) 2011 Needs Design. All Rights Reserved. <管理者>ニーズデザイン(長内悟)    <連絡先>s_osanai@neds-ip.com