2011年10月16日

ドメインと商標権と不正競争防止法  その4 ドメイン名に対し商標権侵害が認められた事例

 ドメインと商標権と不正競争防止法
 その4 ドメイン名に対し商標権侵害が認められた事例



 ドメイン名の使用で、商標権侵害は認められるか?
 企業や事業でインターネットのサイトが不可欠な今、このような問題を気にされる方もいらっしゃるとおもいます。

 今回紹介するのは、「ドメイン名の使用につき商標権侵害及び商標法上の先使用権の抗弁が認められた事例」(知財管理 Vol.56 No.4 2006 判例研究:No.301)です。
 このブログでは大まかな内容をまとめていますので、詳細を知りたい方は、論文をお読み下さい。

 この事例は、第1事件(平成14年(ワ)第13569号商標権侵害差止請求事件)と第2事件(平成15年(ワ)第2226号商標権侵害差止請求事件)の2つの争いがありましたが、今回は第1事件のみを紹介します。


 第1事件は、登録商標と同一または類似ドメイン名の使用が商標権侵害と認められ、損害賠償請求(一部)が認められた事例です。
 原告はG社、被告はD社でした。

 G社が登録した商標と類似したドメイン名(以下、「標章」と記載)をインターネット上で使用したD社を相手どり、D社の標章の使用の差止めと損害賠償請求をしました。
 
 以下、争点と判旨をまとめると、


ア D社はドメイン名を商標(ただの記号や文字列ではなく、商品やサービスを区別をするために使う標章)として使用していたか?

 D社のホームページの記述などから、D社がドメイン名をどのように使っていたか(「使用様態」といいます)が判断されました。
 ホームページに「ナントカ.JPは、〜」と書かれていたことから、D社がただのドメイン名としてではなく、商標として使っていたと判断されました。


イ D社の商標は、G社の登録商標と似ているか?

 判旨には、「二つ以上の語の組み合わせからなる文字商標は、全体において一体性が認められ、全体から一定の概観、呼称、または観念が生じることがなく、または、語の間に識別力に強弱があったり、語の中の一部が需要者に特に印象付けられたりする場合には、要部というべき一部を分離ないし抽出してその部分が有する概観、呼称、または観念による商標の類否判断をすべきである。」と述べられていました。
 D社の商標の場合は、その商標の要部がG社の登録商標と同じ外観(見た目)と呼称(呼び方や発音)と似ていて、観念(商標に対して、そのサービスや商品を利用する人が持つイメージ)も似ていると言えることが示された。


ウ D社がD社サイトで行っている行為とG社商標権の知ってい役務は類似するか

 商標が登録商標と似ているだけでは、商標権の侵害とは言えません。
 商標権の侵害といえるためには、登録商標の指定役務(商標登録の際に出願人が指定した商品やサービス)と、侵害したと主張される商標(以下、「当該商標」と記載)が同一または類似の役務(商品やサービス)に使用されている必要があります(商標法25条、37条1号)。

 役務が似ているかどうかの判断は、

・役務類似するか否かは、両者の役務に同一または類似の商標を使用したときに、当該役務の取引者ないし需要者に同一の営業主の提供に係わる役務と誤認させるおそれがあるかによって決めるべきであると解するのが相当。
・類否の判断にあたっては、取引の実情を考慮すべきであり、具体的には役務の提供の手段、目的または場所が一致するかどうか、需要者の範囲が一致するかどうか、業種が同じかどうかなどを総合的に判断すべきである。

 といった方針が示されています。

 D社がD社のサイトで行っている業務は、G社商標権の指定役務である電子計算機通信ネットワークによる広告の代理業務と同一ないし類似するということができると判断されました。

 以上の認定に基づき、裁判所はD社がD社サイトで提供する業務において、D社標章の使用はG社の商標権の侵害にあたるとし、その使用中のD社標章2および3の使用の差止めを認めた。
 また、D社にG社の損害賠償の支払いを命じ、G社のその余の請求を棄却した。


 以上のように、この事例では、ドメイン名の使用が商標権侵害と認められ、損害賠償請求も認められました。


 ちなみに論文に記載されている第2事件は、商標法上の先使用権が認められた事例です。
 第1事件とは逆に、原告がD社で被告がG社でした。

 「G社に先使用権は認められるか」という争点について、

・ D社商標出願時には、G社標章はインターネット上で求人事項の掲載等を行うG社の役務を示すものとして、東京、大阪、あるいは名古屋を中心とする地域において、就職活動に関心を持つ需要者層の間で広く認識されていたと認めるのが相当である(商標法31条1項の周知性の要件を満たす)。
・ G社の標章の使用は、不正競争を目的に出たものではない。

 と判断されました。


 私個人の感想として、

・ドメイン名を決めるときは、商標権侵害回避の努力をすることが望ましい。
 特に、自分が登録しようとするドメイン名と同じ商品やサービスを同業者が行っている場合は注意が必要。

・ドメイン名をURL以外に、(商品やサービスなどの名前)として使う場合は商標としての使用とみなされるケースがある。

・ブランディングなどで、ドメイン名と同じ商標を使う場合は、ドメイン名の主要なトップ・レベル・ドメイン以下の文字を商標登録することにより、模倣したサイトに権利行使できる可能性がある。

 といったことでした。


 ドメイン名を決める場合、そのドメイン名をとれるかとれないかだけで判断しがちです。
 しかし、ブランディングでドメイン名とサービスや商品の名前を統一する場合、商標調査の結果も含めてドメイン名を決めると、トラブルを避けやすくなると思います。
ラベル:商標権
posted by NEDS at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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