2012年07月20日

商標登録を目指す場合のネーミング 第1回 商標法3条1項及び2項に関する審査基準

 商品名やサービス名を商標登録したい。
 ドメイン名を商標登録したい。
 このような場合、どんなネーミングやドメイン名ならば商標登録できるのでしょうか?

 今回のシリーズは、商標審査基準を読み、商標登録されやすいネーミングの考え方を学ぶことがテーマです。
 商品名、サービス名、ブランド名などは、コンセプト、理念、イメージ、品質などといったものから考えることが多いと思います。
 一方、商標登録を目指す場合には、審査で拒絶されにくいネーミングを考えるのも、時間的、コスト的に効率が良い方法です。
 そのため、商品名、サービス名、ブランド名などの商標登録を予定している場合は、ブランド戦略の視点だけでネーミングを考えるのではなく、商標の審査基準を考慮したネーミングを考えるのも一つの方法と思われました。

 このような理由から、審査基準を読み、商標登録を目指す場合のネーミングを考えるときに参考になる記載をまとめてみました。
 ブランディングやネーミングの参考としてお読み下さい。


 尚、今回参考にした資料は、「商標審査基準(改定第10版)」(http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/syouhyou_kijun.htm)です。
 商標法の条文は、http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO127.html に掲載されています。


 さらに詳しく知りたい方は、次の資料を読むことをお勧めします。

・商標審査便覧
 http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/syouhyoubin.htm

・類似商品・役務審査基準(国際分類第10版対応)
 http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun10.htm

 尚、今回のシリーズで紹介するネーミングのヒントは、あくまでも商標審査基準の視点からまとめたものに過ぎません。
 実際に知財の現場では、冗長な商標を避けるなどといったノウハウもありますので注意して下さい。

 今回のブログ記事では、条文や審査基準の意図を損なわない範囲で、簡易的な表現で記述することを心がけました。
 内容の誤りや誤解を招く表現等がありましたら、大変お手数ですがご連絡下さい。



<商標法第3条1項>
 商標法3条1項は、商標登録の要件に関する条文です。
 3条1項で規定されている登録できない商標には、次のようなものがあります。

(1)その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章(言葉や名前)のみからなる商標(一般的な名前の他、略称や俗称も含まれます)

(2)慣用されている商標(3条1項2号)

(3)商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、(包装を含む)形状など(3条1項3号)
・図形や立体的な形で商品の産地、販売地、品質、生産などを表示する商標も該当します。
・国の名前、地名、繁華街、地図などは、原則として商品の産地もしくは販売地または役務の提供の場所を表示するものとされます。
・指定商品(出願時に商標の使用をするものとして指定する商品)の品質、効能、用途などを間接的に表示する商標は、3条1項3号に該当しないものとされます。指定役務についても同様の扱いです。

(4)ありふれた氏または名称(3条1項4号)

(5)極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(3条1項5号)

(6)3条1項1号〜5号までに該当するものの他、需要者が誰の業務の商品やサービスかを認識できないもの。
 需要者とは、その商品やサービスを利用する人達という意味です。
 ありふれたネーミングや一般的に使用されている言葉などが該当します。、


 出版物やメディアの名称は3条1項3号の審査基準でどのように扱われるかと言うと、

・書籍の題号:題号がただちに特定の内容を表示するものとして認められるときは、品質を表示するものとする。
・新聞や雑誌などの定期刊行物の題号:原則として、自他商品の識別力があるものとする。
・フィルム、CDなどの題名:題名がただちに特定の内容を表示するものと認められる場合は、品質を表示するものとする。
・放送番組名:番組名がただちに特定の内容を表示すると認められるときは、役務の質を表示するものとする。

 飲食店の屋号などの場合は、国の名前や地名などが特定の料理(例えばフランス料理、イタリア料理、北京料理など)を表示すると認められるときは、その役務の質を表示するものとされます。
 屋号やネット販売などの小売等のサービス(役務)の場合、商標が取り扱い商品を表示すると認められるときは、その役務の「提供の用に供する物」を表示するものとされます。

 
 尚、3条1項の規定による「商標登録を受けることができるかどうか」が判断されるのは、査定(ここで言う「査定」は、「商標登録の査定」という意味です)のときです。
 そのため、ネーミング(商標)を考えた当時は商品やサービスに対してその呼び方を誰もしてなかったけど、今は俗称や慣用的な名前として使われている、といったネーミングを商標出願したい、といった場合には注意が必要です。

 余談ですが、方言を使ったネーミングはどうなのか?
 審決や裁判例を見ると、造語として扱われるケースがあるようです。


<商標法3条2項>

 3条2項は、使用により識別力が生じた商標について規定されています。
 3条1項3号〜5号に該当する商標であっても、商標を使った結果、特定の者の出所表示として、その商品やサービスのユーザーの間で全国的に認識されたものについては商標登録を受けることができると規定されています。
 ただし、3条2項を適用して登録が認められるのは、出願された商標と使用されている商標が同一で、指定商品や指定役務と使用されている商品やサービスが同一の場合のみです。
 そのため出願された商標と使用されている商標に違いがあれば、使用により識別力を有するに至った商標とは認められません。
 ただし、出願した商標と使用した商標が、概観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないと認められるとき(明朝体とゴシック体の違い、縦書きと横書きの違いなど)は、3条2項の判断で考慮されます。

 尚、商標が使用により識別力を有したかどうかの判断と証拠は、3条2項に関する審査基準に掲載されています。


<まとめ>
 商標法3条1項に基づいて商標登録されやすいネーミングを考えるときは、
・商品やサービスそのものに使われている言葉、慣用表現、俗称、略称、産地、原材料、効能、用途、などのみから成るネーミングを避ける。
・ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示したネーミングを避ける。
 などといったところでしょうか。


 次回のブログでは、商標の不登録事由が書かれた、商標法4条に関する審査基準を紹介します。
posted by NEDS at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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