「知財管理」の2015年8月号に、異業種参入をした事業について、特許分析を行った事例が紹介されていました。
異業種へ参入し成功した商品に関する特許出願分析
情報検索委員会 第3小委員会
知財管理 2015年8月号(Vol.65 No.8 P1072-1083)
この記事は、
・特許分析を活用して、各事業が異業種参入に成功したポイントを探る。
・異業種参入の事例を学ぶ。
の2つの視点から読むことができると思います。
特許調査をしている私は、今回は後者の視点で記事を読みました。
記事で紹介されている各事業の特許分析の内容をまとめると、
「ヘルシア」(花王)
特許の出願内容別推移を検討
・商品の効果や風味等の作用効果毎に出願件数の推移を検討。
・公報の課題や効果から情報を抽出?
「内視鏡」(富士フィルム)
子会社の吸収に伴 う製品開発への影響を検討。
・発明者と各発明者の特許について分析。
「太陽電池」(昭和シェル)
事業の進展と特許出願の関係を検討。
・事業のプロジェクト、事業化イベントの際に出願件数がどのように変化したかを分析。
・プロジェクト、事業化イベントはプレスリリース、新聞記事、ニュース等から抽出?
太陽電池の特許分析の事例では、特許情報とプレスリリース・ニュースに関する情報を組み合わせることで可 能となる分析で、特許情報とそれ以外の情報を組み合わせることで、事業の展開を可視化できることが示唆されています。
「異業種参入した商品の特許分析」と一言でいっても、実際には調査の目的に応じて様々な分析の手法を使います。
この記事を読んで、「調査の目的を具体的に考える」(何を知りたいか?)→ 「特許分析の手法の設計」(必要な情報をどのようなデータベースを使うか等) を検討して特許分析を行うという基本 の大切さと、特許分析の基本から応用への展開が理解できました。