2016年03月26日

特許異議の申立と特許調査



 平成26年の特許法改正で特許異議申立制度(いわゆる付与後レビュー)が施行されてから、まもなく1年がたちます。
 特許庁の発表によると、申立日が平成28年3月8日までの異議申立は608件あったとのことです(資料1)。

 IPC別の特許異議申立の状況で意義申立の多い分野を見ると、Cセクション(化学;冶金)が189件と最も多く、次いでAセクション(生活必需品)139件、Bセクション(処理操作;運輸)93件となっています。

 特許異議申立制度は無効審判よりも費用が安く、書面による審理のため申立人の手続きの負担が軽いといった事情もあり(資料2)、事業の障害となる特許がある場合に活用するのも一つの方法だと思います。


 他者の特許に対し、特許異議申立するための特許調査は、ウォッチング(SDI)と無効資料調査を組み合わせて行います。

1.異議申立の対象となる特許を探す(ウォッチング、SDI)。

 特許異議申立は、平成27年4月1日以降に特許公報が発行された特許に対し、特許公報の発行から6ヶ月以内に異議申立をすることができます。

 そのため発行される特許公報を定期的に監視し、抽出した特許公報について異議申立の検討を行う必要があります。
 発行される特許公報の監視は、ウォッチング(SDI)よばれる調査方法で行います。

 問題のある公開公報(または公表公報)が確認された場合は、経過情報を確認し、審査請求が行われたか(または審査請求が行われる可能性があるか)をチェックし、その公報に記載された発明が特許として登録されるか否かを監視します。


2.異議申立の理由と無効資料調査

(1)特許異議申立の理由

 特許異議申立の理由となるものは、次のとおりです(資料2)。

○特許異議の申立ての理由
・ 特許法第 113 条第 1 号
・ 新規事項違反(外国語書面出願を除く、特§17 の 2B)
・ 特許法第 113 条第 2 号
・ 外国人の権利享有違反(特§25)
・ 特許要件違反(特§29、29 の 2)
・ 不特許事由違反(特§32)
・ 先願違反(特§39@ないしC)
・ 特許法第 113 条第 3 号
・ 条約違反
・ 特許法第 113 条第 4 号
・ 記載要件違反(特§36C一、E(四号を除く))
・ 特許法第 113 条第 5 号
・ 外国語書面出願の原文新規事項違反


(2)特許異議申立と無効資料調査

 新規性(特許法29条)、進歩性(特許法29条の2)、先願(特許法30条1項ないし4項)を理由に異議申立をする場合は、無効資料調査と同様の方法で特許異議申立のための資料を収集します。


(3)無効資料をあつかう際の注意点

 「特許異議の申立ての状況、手続の留意点について」(資料1)によると、多く発生している事例の一つとして、「証拠の不備が」が指摘されています。
 具体的には、

証拠の不備

・外国語文献の翻訳文が添付されていない

・証拠ごとに証拠番号(例:甲第1号証)の記載がない

・文書の文字が不鮮明で判読できない

・図書、雑誌等の公知日が特定できない(表紙や奥付がない)

・パンフレット等の頒布時期、発行時期が確認できる資料がない

・インターネット上の情報などが証拠として提出されており、対象となる特許の出願日前の情報であるかが特定できない(図書など公知日が特定できる証拠がある場合はそちらを優先して提出してください)

・ホームページの印刷物にURL、印刷日の記載がない

・実験成績報告書等の作成日・作成者等の記載がない

・証拠を国際公開番号で特定し、国際公開公報を添付すべきところ、添付された証拠が「再公表特許」である

 証拠提出の詳細については、「証拠提出に関する書類の点検と注意事項
」(資料3)に記載されています。

 これらの留意点は、特許調査の結果を報告する際に対処できることも多いです。


参考資料

1.特許庁サイト「特許異議の申立ての状況、手続の留意点について」https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/sinpan/sinpan2/igi_moushitate_ryuuiten.htm 2016年3月26日アクセス

2.「特許異議申立制度の実務の手引き」https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/igi-tebiki/tebiki.pdf 2016年3月26日アクセス

3.証拠提出に関する書類の点検と注意事項
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/sinpan-binran_16/34-01.pdf 2016年3月26日アクセス


 注:NEDSは特許異議申立のための各特許調査のご相談と検索代行を承っていますが、代理人等の業務はお断りしています。異議申立の手続きの相談、申立の代理人等は弁理士または弁護士にご依頼ください。
posted by NEDS at 14:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック
Copyright (C) 2011 Needs Design. All Rights Reserved. <管理者>ニーズデザイン(長内悟)    <連絡先>s_osanai@neds-ip.com