2019年07月01日

知財業界での初体験 〜独立後初めての特許調査から学んだこと〜

 独学の弁理士講座さんの「弁理士の日記念ブログ企画2019」ということで、私が独立後に初めて受託した特許調査の仕事を書いてみました。


技術調査.jpg


【独立後初めてのちょっと変わった特許調査】

 お客さんが指定した打合せ場所へ行くと、ある製品の部品を渡されました。
 他のメーカーの製品よりも、「優れた効果」があるとされる製品の部品です。

 製品の効果や機能に対し、部品のどのような構造や素材が影響しているか? 特許は出願しているか? を調べてほしいという依頼でした。

 説明を一通り聞いて、部品をお借りし、装置の効果や機能をメモにまとめて調査に着手。
 部品の構造や作動の仕組みなどの構成を確認し、構成と作用効果の関係を把握。
 メーカー名やその装置を使う製品を参考にして、部品の作用効果に影響を与える構成を中心に検索式を作成しました。

 特許調査では、「発明をどのように把握するか」が重要なスキルであることに気づかされました。
 独立前は一度もしたことがなかったちょっと変わった特許調査でしたが、その後の自分の仕事に最も影響を与えた調査でした。


【現在の特許調査への応用】

 1.発明の作用効果の確認。
 2.作用効果と構成の関係の把握。

 独立後初めての特許調査をして以来、出願前先行例調査や審査請求前の先行例調査や無効資料調査などの場合、この2つのステップを経た検索式の作成を意識するようになりました。

 1の「発明の作用効果の確認」は、発明提案書や明細書の記載を確認します。
 明細書に書かれた「従来技術の課題」は発明の作用効果と裏表の関係なので、従来技術の課題も参考になります。

 2の「作用効果と構成の関係の把握」は、明細書の「発明の詳細な説明」や「実施例」などの記載を参考します。
 審査請求前の先行例調査や無効資料調査の場合、請求項に記載された発明の構成に対応する「発明の作用効果をもたらす構成」を確認します。

 自分が最も難しいと感じていることは、2の「作用効果と構成の関係の把握」でした。
 特に出願前の先行例調査の場合、発明者へのヒアリングや質問が必要になることも多く、理解力とコミュニケーション力の大切さを痛感しました。


【これからの特許調査の仕事へ向けて】

 請求項や明細書を書く弁理士さんは、発明者にどのようなヒアリングや質問をするのか?
 弁理士さんは発明の作用効果をどのように発明の構成と結びつけ、文章にするのか?
 特許調査と請求項や明細書の作成は違うものの、発明の特徴を把握して文章にする弁理士さんの仕事から学ぶべきことがあるのではないだろうか?

 私は弁理士さんの仕事に興味を持つようになり、最近行われたイベント、「特許の鉄人 〜クレーム作成タイムバトル〜」の観戦に行きました。
 (イベントの概要や作成されたクレームへのリンクは、独学の弁理士講座の記事「特許の鉄人の感想」に掲載されています。)

 わずか25分間という短時間、弁理士さんが発明者の説明を聞き、発明の構成と機能を関連づけ、技術的範囲なども考慮して請求項を作成する様子を見ることができました。
 システムの特許とソフトウェアの特許の違いなどの説明など、自分の普段の仕事では知ることがない話しも興味深かったで

 もし「特許の鉄人」の題材になった発明の先行例調査をする場合、自分ならどのように作用効果と関連のある構成を把握し、検索で使うキーワードを決定するかを考えさせられました。
 2戦めの題材のような発明では、出願前先行例調査をする際、システムの発明に限定して検索してはいけないこと、端末とサーバのそれぞれの機能の違いに気をつけること、などに気づかされました。

 独立後初めての特許調査から学んだ「発明をどのように把握するか?」は、今後の特許調査の仕事のために、継続して学習したいテーマの一つになりました。




posted by NEDS at 18:07| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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