
2017年5月23日、特許庁のサイトに、IoT関連技術の広域ファセット(12の用途別に細分化した特許分類情報)がJ-PlatPatに備蓄され、特許情報の収集・分析を行うことが可能となったという内容の発表がありました。
広域ファセットとは、複数の分野にまたがる技術の横断的なサーチを効率よく行うために設けられたもので、IoT関連技術の広域ファセット"ZIT"の適用範囲は、全範囲とされています(「パテントマップガイダンス 広域ファセット一覧」参照)。
J-PlatPatの「特許・実用新案分類検索」を使用し、IoT関連技術の広域ファセットを検索式として入力して検索を行い(全種別を検索対象)、IoT関連広域ファセットの付与の状況を検証してみました。
ZIT Internet of Things[IoT] 455件(2017年5月23日現在)
特許庁サイトによれば、「IoT関連技術の特許分類情報については、今後も出願公開状況や審査状況に応じて、順次特許情報プラットフォームに蓄積されていきます。」と書かれていることから、今後の付与の状況を見守るしかないのでしょうか。
細分化した各IoT関連広域ファセット(ZJA〜ZJX)のヒット件数は、以下の通りでした(2017年5月23日現在)。
ZJA ・農業用;漁業用;鉱業用 6件
ZJC ・製造業用 8件
ZJE ・電気,ガスまたは水道供給用 17件
ZJG ・ホームアンドビルディング用;家電用 47件
ZJI ・建設業用 1件
ZJK ・金融用 5件
ZJM ・サービス業用 25件
ZJP ・ヘルスケア用,例.病院,医療または診断;社会福祉事業用 41件
ZJR ・ロジスティックス用,例.倉庫,積み荷,配達または輸送 6件
ZJT ・運輸用 9件
ZJV ・情報通信業用 41件
ZJX ・アミューズメント用;スポーツ用;ゲーム用 14件
ZITが付与され、細分化した広域ファセット(ZJA〜ZJX)が付与されていない公報を確認するため、次の検索式を入力し、検索を行いました。
ZIT-[ZJA+ZJC+ZJE+ZJG+ZJI+ZJK+ZJM+ZJP+ZJR+ZJT+ZJV+ZJX] 229件
この229件の中には、なぜ細分化した広域ファセットが付与されないのか? と思うような公報が多数含まれています。
例えば・・・。
特許6119072 「遠隔診療支援システム、遠隔診療支援サーバ及び遠隔診療支援方法」
ZJPではない?
特開2017-074382 「チーム競技環境における運動パフォーマンスモニタリングのシステムおよび方法」
ZJXではない?
今後のIoT関連技術の広域ファセットの付与の動向にもよりますが、少なくとも現在の状況では、IoT関連発明の広域ファセットを使って特許検索をする場合には検索漏れに注意する必要があるものと考えられました。